2014年4月21日月曜日

お客様の立場に立てと言われても・・・処理になってしまう!


日々、顔が見えない中で次々とコールを受け、且つ限られた時間内で業務手続きをして、また次のコールを取る。それを繰り返していくうちに、どうしても、個々のお客様のことを考えた配慮ある応対をする心の余裕はなくなりがちである。似たようなご用件ばかり受けるとなると、【次はこうして、ああして】と自分の頭の中で流れが先回りして、お客様の話を聞いているようで聞いていないのも仕方ない側面もある。口調もどうしても感情が入りにくい。自分では抑揚をつけているつもりだが、つい言葉尻を遮ってしまったり、「ええ、はい」と事務的な相づちになってしまう。

「そんなつもりはないんですけど、次々と聞かれたことに答える単純作業だから仕方ないですよね。」と、あるコールセンターで、コミュニケーターの一人が自分の応対テープを聴きながらSVに同調を求めた。私はそのSVがどのような対応をするのか、興味があった。実はこれはとても大切な場面だからだ。

「そうね、確かに仕方ない面もありますね。ただできるだけそう感じさせないように意識していきましょう。」という言い方もある。「相づちが事務的なので、その部分を直してください。」という言い方もある。しかし、仕事熱心なそのSVは中途半端に流さなかった。彼女は言った。

「私たちが担っているのは単純作業でしょうか?単純作業なら、機械が対応すればもっとコストも安くすみます。でも、電話番号まで調べて、あえて電話をしてこられるお客様はそれで納得するでしょうか?
おそらく、「電話をかけよう」「これは電話で聞くしかないな」と思うまでに、いろいろ自分で調べたり、考えたりしたはずです。それでも答えがないから”直接電話して聞くのが一番いい”と判断し、受話器を取るケースが圧倒的に多いと思います。
ということは、他で調べたこと以上の”何か”を心の中で期待しているということです。その期待は人それぞれです。表面的には同じような質問でも、お客様にとっては、置かれている状況も、背景もいろいろ、答えてほしいポイントもいろいろ、納得されるポイントもいろいろです。それを短時間で察知して、納得いただけるように説明するには、やはり機会では無理です。
常に、【次のお客様は、(顔は見えないけれど)何をなぜ聞きたいと思っておられる方だろう?】という興味を持って対応するようにしてください。実際に店頭で接客をしているように。このセンターではそういう仕事の仕方を目指しています。それでこそ、「このセンターに任せて良かった」と多くの方に思っていただける状況を作れます。
○○さんは、私たちにとって大切な存在です。だからこそ、あえてお願いしています。ぜひ、そういう模範となって一緒に努力していきませんか?」

そして続けた。

「再度このテープを聴いて、このお客様は何をなぜお聞きになりたかったのかイメージをしてみましょう!私はこのように想像することが好きです。もしかしたら、この件でご主人に叱られるのかもしれない。もしかしたら、お子さんのためにどうしてもと思いたったのかもしれない。それぞれ、言葉にならない背景があることをちょっと想像してみましょう。」
その後、二人で「もしかしたら~と思っておられたかもしれない。であれば、~して差し上げられました。」という話で盛り上がっていた。

仕事を面白くするコツは、”お客様に興味を持つ”こと。実は、「興味が薄れていく=マンネリ」が仕事上で一番怖い。見えるはずモノが見えない、聞こえるはずのモノが聞こえなくなる。それをどうわかってもらうのか、SVとしていろいろ考えた結果このような指導になっていたのではないだろうか。

最後にそのSVが私に言ったのは、「このように指導する以上、私たちもコミュニケーターさんへの興味を持ち続けることが必須です。”この人のことはもうわかっている”というのが一番怖い。”人は常に変化する”と言うことを肝に銘じて、興味を持って”なぜそういうことをするのか?なぜそう考えるのか?”にこだわり続けたいと思います。」

仕事の達人はそういう心持ちが違うのだと再確認した言葉だった。


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