2014年6月26日木曜日

切り際の余韻を大切にしていますか?

電話応対に限らず、接客・販売業、営業、全てにおいて第一印象の重要性はかなり浸透している。特に声による明るい第一印象は『”笑顔”が伝わらない分、”笑声”で表現しましょう』と多くのコールセンターで発声練習を重ね、チェックをするなど気を遣っている。立ち上がりでお客様に悪印象を与えてしまうと、それがお客様の出方を左右し、コミュニケーターが応対しにくくなることが多々ある。お客様の心を開かせ、気持ち良く受け答えしていただける状況を作り出すためにも、最初の出方を研究することは、とても大切なことである。

では、終わり方はどうだろうか。
接客・販売業では、「お見送り」という段階で、最後にご来店いただいたことへの感謝を、言葉だけでなく態度・行動で表そうと、出口まで一緒に荷物をお持ちし、最敬礼でお礼をしましょうと徹底しているケースもある。一概にそれが良いということではない。むしろ、「そこまでしてもらわなくても…」というお客様もいらっしゃる。第一印象と異なり、接客・応対のプロセスが間に入っているだけに、ここはマニュアル的に画一でやればよいというモノではなく、むしろ、”次のご来店にどうつながるようにするか”という目的のために、そのお客様に合わせた対応をすることのほうが大切である。あと印象は第一印象よりも個別対応の要素が入ってくるだけに、お客様に与えるインパクトに違いが出やすい。

ある健康食品の通販会社に電話をした際、切りぎわにコミュニケーターが「それではご説明は以上です。ご不明な点はございませんか?〇○様、急に暑くなってまいりましたので、体調にお気をつけておすごしください。」という言葉を添えた。おそらくマニュアルにあるのだろうが、何となく気持ちがほのぼのしたのを覚えている。
また、あるコールセンターにかけた際、全体にたどたどしい応対で少しイライラした。しかし切り際にコミュニケーターから、「色々と私の対応が至らず、貴重なお時間をいただいてしまい申し訳ございません。改善してまいりますので、今後ともなにとぞよろしくお願いいたします。」と言われた。思わず「いえいえ、頑張ってください。」と言ってしまった。
またある時、贈答用に選ぼうとした商品に関して電話で問い合わせたところ、条件が合致せず、あきらめることになったケースもある。「親切に教えていただいたのにすみませんが、次回また機会があればお願いしたいと思います。」と言ってこちらが切ろうとした際に、「いいえ、当社の商品をご検討いただきましてありがとうございます。今回は残念でしたが、○○様にとって素敵な贈り物が見つかるといいですね。」と添えてくれた。ここを候補にしてよかったと逆に信頼感を強くした。

効率アップや統一した応対品質を問われることが多いコールセンターにとって、『電話が長引くこと、ばらつきが出ることは悪である』と思っているコミュニケーターは意外に多く存在する。しかし、最終的にはコールセンターも『企業の業績を上げ続けるために、顧客を創造することがミッションである』ということを忘れてはいけないのではないだろうか。サービスの品質は、決められた通りやっているかというチェクリストの○×だけで決まるのはなく、お客様とのやりとりという“文脈”の中で生まれる価値の大きさであることもマネジメント側は意識する必要がある。効率と価値、それをいかに両立させるかを追求するからこそ、コールセンターマネジメントは奥が深いとあらためて思うのである。


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サービスデザイン研究所
代表取締役:袋井 泰江(ふくろい やすこ)

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