2014年6月3日火曜日

CS(お客様満足度)結果が意味するモノとは

応対品質を高め続けることは、コールセンターにとっては普遍的な課題である。しかし、問題意識が高まるのは応対クレームが多発した時や、CS(お客様満足度)調査を行ってその結果が期待に達しなかった時など、どちらかというと否定的なきっかけが多い。それはそれで重要なチャンスではあるが、裏を返せば「特にクレームなどの問題が発生しなければうまくいっている」という錯覚を起こしがちにもなる。

あるセンターでのこと。私がモニタリングを行った範囲でも「おや?これでよくお客様は文句をおっしゃらないな」と思う応対が数コール存在した。しかしSVに確認すると、特に応対クレームも発生していないし、先日行ったCS調査結果でも「結構いい点数を取れてるんですよね」とのことだった。それ以外にも課題が山積していることもあり、気に留めていない様子だった。しかし、よく言われるように、本当に怖いのは”潜在クレーム”である。「おや?」と思いつつも黙って切るという行為は、「この程度のコールセンターなんだろう」「今回はここにしたけれど、次回からは別を選べばいいか」というあきらめや見放しにつながっているリスクが充分ある。すなわち、見えないところで”ファン”を創造するどころか、失望を提供し続けている怖さがある。ちょうど、自覚症状がなく生活習慣病が進み、気がついたときには手遅れという感じである。

また、CS調査にしても、質問の仕方一つで答えは変わってくる。そのセンターでは、「特に問題はございませんでしたか?」という聞き方をするため、面倒な人は「ハイ」と答える流れになっている。また、「満足度を10点満点で評価すると何点でしょう」という聞き方に対して、結果が「8点」と出た段階で”合格点”としている。だから、「結構いいんですよ」という上記のSVの回答になっている。しかし、再購入意思につながる満足度とは”極めて高い満足”レベルであるという調査結果があるように、本来は平均が「9点」以上でなければ問題とみなすべきであろう。

このように目標設定自体がずれている中では、いくらCS結果をフィードバックしても問題意識は高まらない。日々の数字に追われる立場だけに、SVも手をつけたくてもつけられない現状があるのはよく理解できる。となると、コミュニケータ一人ひとりにその自覚を持ってもらうことが何より大切になる。”モニタリングでチェックされるから”が目的ではなく、”一本の電話がどのような影響を持つか?”を早い段階で刷り込むことが結局一番の武器になる。

別のあるセンターでは、「一期一会(いちごいちえ)」を「一呼一会(いちこいちえ)」ともじって、”感動を呼ぶ応対とは?”というテーマを真剣に研究し続けている。そこにはコミュニケータの代表者も参画させ、一緒に知恵を出し合っている。あるコミュニケータに話を聴くと、「先に正解が決まっているのであればそれをやればいいんです。でもどのような応対がベストなのかどうかは、お客様によっても状況によっても微妙に異なります。表面的な文言だけでなく、お客様の思いや欲しておられることをどのように掴むのか、そしてそれに対して私たちがどのような対応をすべきかを研究し合うからこそ、”もっと喜ばれる応対にしたい”という意欲も強くなります。だから、どこまでいっても”これでいい”はないんです。この仕事に飽きる?ウチに限ってはありえません。今日も挑戦です。」

真に強いセンターとは、日々応対から何かを学び取っているコミュニケーターの知恵もふんだんに活用し、主体的に目的に向かわせているマネジメントの威力にあると考えさせられた言葉だった。

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サービスデザイン研究所
代表取締役:袋井 泰江(ふくろい やすこ)

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