2014年4月28日月曜日

パラダイムを変えるのが重要な仕事!

コールセンター運営管理においては、稼働状況などが一目で分かるシステム等、日々進化し続けており、管理監督者数が少なくても多くのコミュニケーター管理が出来るようになっている。
コールセンターは常に効率性を問われる側面があるだけに、システムの威力は大きい。しかし、その結果管理監督者がシステムではじき出された数字だけを基にコミュニケーターの業務効率や貢献度を機械的に判断することはとても恐ろしい。なぜなら、コミュニケーターはロボットではなく、感情がある人間だからである。
且つ、応対業務は”感情労働”とも言われるように、お客様との会話のキャッチボールという数字だけでは判断しにくい面が、お客様満足やコミュニケーターのモラールに大きな影響を与えている。しかし、定性的なこと測定・確認するのは、実は数倍の負荷がかかる。「モニタリングする、記録を再確認する」という時間的な負荷はもちろん、「なぜこのような応対になってしまうのか、真の要因は何か」を探るには、そのコミュニケーターの置かれている状況や、日頃の意識傾向、行動傾向を把握する必要がある。それを無視して表面的に「~してください」と言っても改善しないどころか、反発を招くことになる。

それだけに、管理監督者層は、限られた時間をどのように使うかに頭を悩ませることになる。大半のSV(スーパーバイザー)や監督者は、ともすると
「もっと個別にコミュニケーターと話をしたり、しっかり見てあげたいのですが、なにせ時間がありません
というパターンにはまっていく。そのうち、”時間を作れない“は固定観念として刷り込まれ、「どうやっても無理」という感覚に陥っていく。それによってコミュニケーターはモラールダウンし、定着率が悪化し、新規採用等の負荷が増え、ますます時間がないという呪縛にはまり込んでいるケースが多い。特定の誰が悪いということではない。皆一生懸命、今目の前にある業務を遂行しようと必死である。しかし、何かがずれている
客観的に見れば、
「本当に自分たちが目指したいコールセンターとはどういうコールセンターか」
「それを実現するために、自分たちが知恵を出して乗り越えなければならない課題は何か」
ということに真正面から向き合わないまま、目先のことで「仕方がない」で終わってしまっている。それでは本当の意味での新しい価値を生み出すための知恵は出ない。

あるセンターで、同じような状況に陥った際、センター長が言った。
「コールセンターは、管理者が管理しやすいようにコミュニケーターを枠に入れて、その通りやらせるだけでは、『皆失敗しないように無難にやれば良い』という思考が強化され、いつまでたってもお客様満足につながらない。コミュニケーター一人ひとりが、自分に何ができるのかを創造的に考えて、能動的に仕事に向かうように管理監督者がサポートするという発想に立たなければだめだ。そのためには、もちろん今よりも効率が落ちるなど、いろいろなリスクを想定しなければならない。しかし、そこまでやるからこそ、逆にお客様からの支持や、従業員の満足度も高まり、結果的にクライアントへの貢献につながる。様々な抵抗もあるかもしれないし、過渡期はみんなでしんどい思いをするかもしれないが、”そんなの理想論だ”と最初からあきらめずに、ビジョンを掲げてチャレンジしてみよう!私も関係者に理解してもらえるよう取り組みます。あなたたち管理者・SVは、ビジョンに向かってコミュニケーターを率いていく重要な役割だから、コミュニケーションを大切にして、個々にあったフォローを徹底することに挑戦してほしい。」
 それから、変革の闘いが始まった。

山あり谷ありだったが、1年後定着率は見事に上がり、それに伴ってコミュニケーターのスキルも安定した。常に人が入れ替わる状況に使っていたエネルギーを、お客様に向けて注ぐことができるようになった。
コミュニケーターの一人が、「いくつかコールセンターを経験してきましたが、仕事内容や時給だけでなく、ここで働きたいと心から思ったセンターはここが初めてです」と言っていた。不退転の決意でセンターに浸透しているパラダイムを変えることが所長の一番の仕事なのだと改めて教えられた事例だった。

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サービスデザイン研究所
代表取締役:袋井 泰江(ふくろい やすこ)

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2014年4月21日月曜日

お客様の立場に立てと言われても・・・処理になってしまう!


日々、顔が見えない中で次々とコールを受け、且つ限られた時間内で業務手続きをして、また次のコールを取る。それを繰り返していくうちに、どうしても、個々のお客様のことを考えた配慮ある応対をする心の余裕はなくなりがちである。似たようなご用件ばかり受けるとなると、【次はこうして、ああして】と自分の頭の中で流れが先回りして、お客様の話を聞いているようで聞いていないのも仕方ない側面もある。口調もどうしても感情が入りにくい。自分では抑揚をつけているつもりだが、つい言葉尻を遮ってしまったり、「ええ、はい」と事務的な相づちになってしまう。

「そんなつもりはないんですけど、次々と聞かれたことに答える単純作業だから仕方ないですよね。」と、あるコールセンターで、コミュニケーターの一人が自分の応対テープを聴きながらSVに同調を求めた。私はそのSVがどのような対応をするのか、興味があった。実はこれはとても大切な場面だからだ。

「そうね、確かに仕方ない面もありますね。ただできるだけそう感じさせないように意識していきましょう。」という言い方もある。「相づちが事務的なので、その部分を直してください。」という言い方もある。しかし、仕事熱心なそのSVは中途半端に流さなかった。彼女は言った。

「私たちが担っているのは単純作業でしょうか?単純作業なら、機械が対応すればもっとコストも安くすみます。でも、電話番号まで調べて、あえて電話をしてこられるお客様はそれで納得するでしょうか?
おそらく、「電話をかけよう」「これは電話で聞くしかないな」と思うまでに、いろいろ自分で調べたり、考えたりしたはずです。それでも答えがないから”直接電話して聞くのが一番いい”と判断し、受話器を取るケースが圧倒的に多いと思います。
ということは、他で調べたこと以上の”何か”を心の中で期待しているということです。その期待は人それぞれです。表面的には同じような質問でも、お客様にとっては、置かれている状況も、背景もいろいろ、答えてほしいポイントもいろいろ、納得されるポイントもいろいろです。それを短時間で察知して、納得いただけるように説明するには、やはり機会では無理です。
常に、【次のお客様は、(顔は見えないけれど)何をなぜ聞きたいと思っておられる方だろう?】という興味を持って対応するようにしてください。実際に店頭で接客をしているように。このセンターではそういう仕事の仕方を目指しています。それでこそ、「このセンターに任せて良かった」と多くの方に思っていただける状況を作れます。
○○さんは、私たちにとって大切な存在です。だからこそ、あえてお願いしています。ぜひ、そういう模範となって一緒に努力していきませんか?」

そして続けた。

「再度このテープを聴いて、このお客様は何をなぜお聞きになりたかったのかイメージをしてみましょう!私はこのように想像することが好きです。もしかしたら、この件でご主人に叱られるのかもしれない。もしかしたら、お子さんのためにどうしてもと思いたったのかもしれない。それぞれ、言葉にならない背景があることをちょっと想像してみましょう。」
その後、二人で「もしかしたら~と思っておられたかもしれない。であれば、~して差し上げられました。」という話で盛り上がっていた。

仕事を面白くするコツは、”お客様に興味を持つ”こと。実は、「興味が薄れていく=マンネリ」が仕事上で一番怖い。見えるはずモノが見えない、聞こえるはずのモノが聞こえなくなる。それをどうわかってもらうのか、SVとしていろいろ考えた結果このような指導になっていたのではないだろうか。

最後にそのSVが私に言ったのは、「このように指導する以上、私たちもコミュニケーターさんへの興味を持ち続けることが必須です。”この人のことはもうわかっている”というのが一番怖い。”人は常に変化する”と言うことを肝に銘じて、興味を持って”なぜそういうことをするのか?なぜそう考えるのか?”にこだわり続けたいと思います。」

仕事の達人はそういう心持ちが違うのだと再確認した言葉だった。


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このブログについて

25年以上にわたり、コンサルタントとして、北海道から沖縄まで数多くのコールセンターに訪問し、マネージャー・スーパーバイザー・コミュニケーターの皆さんと一緒にコールセンター研修等を通じて問題解決に取り組む機会を与えていただきました。 激変する環境の中で、コールセンターでどのような問題が発生したとき、現場でどのように答えを掴んだのかをこのブログでご紹介したいと思います。


 






株式会社サービスデザイン研究所
代表取締役社長/サービスデザイナー
 
袋井 泰江(YASUKO FUKUROI)


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