2014年9月24日水曜日

大きなインパクトを持つ、コミュニケーター・スーパーバイザーの”情報感度”の鋭さ



コールセンターでの応対の仕事は電話でやりとりすることだけではない。むしろそれは入り口であって、お客様とのやりとりから得た情報を、組織の目的に向けていかに正確・迅速、そして有効に役立てられるように発信するかが重要となる。

例えば、注文を受け付けるコールセンターであれば、お客様が何を欲しているかを電話で聞き取り、その情報を正確且つ迅速にPCFAX等で必要部署に流すことで、依頼された商品を期日までにすみやかにお客様にお届けできる。
お問い合わせや苦情を受け付けるセンターでは、どのような相談がどういう人からあって、どのように対応したかを正確に必要部署に知らせることで、事前にFAQの充実を図れたり、組織としての効果的な苦情対応が可能となる。

つまり、「情報の流れ」という観点で見れば、コールセンターは、
「外部のお客様のニーズ・期待等をキャッチする」⇒「それを必要部署へ必要なカタチで発信する」⇒「返ってきた情報を正しく受信し、お客様のニーズにマッチするカタチで伝える」ことで、組織全体の目的をより効果的・効率的に達成する要の部署となる。

〈情報活用型組織〉


となると、コミュニケーターあるいはスーパーバイザーが担うべき役割は、感じの良い応対だけではない。
✦ 組織全体の目的をよく理解する、それを前提にコールセンターの担うべき役割を正しく自覚する。
✦ お客様ニーズを正確につかみ取り、それをわかりやすくスピーディーに発信する。
✦ 必要であれば、さらに付加価値をつけた情報(提案)を発信する。
など、組織全体におけるコールセンターの位置づけの重要性を認識した上での発信力が重要となる。

しかし、現実にはセンターにうかがうと、スーパーバイザーから「彼女の応対はいいのですが、履歴の残し方に問題があるんです。処理を急ぐあまり、相手の立場に立ったわかりやすい書き方になっていないため、結局二度手間になることもあって困るんです。」あるいは「応対自体は悪くないのに、重要な情報が記録から抜け落ちていて、クレームになってしまうこともあるんです」「苦情の応対後の記録を見ると、分析が甘くて、これでは再発防止にならないと思うレベルのモノもあります」等の悩みを聞くことがある。
意外にモニタリングはしっかり行い、評価もフィードバックしているが、この記録の残し方についてはある程度業務に慣れてくると安心感を持ってしまい、問題が発生しない限りチェックしていないこともある。しかし、コミュニケーター育成という観点で見れば、対お客様だけでなく、対内部顧客に対してもコミュニケーションの難しさを意識し、「情報受・発信力」を磨き続けることが大切ではないだろうか。

そのためには、他部署の視点から見たニーズ(どんな情報をどんなタイミングで欲しているのか)を正しく理解する必要がある。それも含めて、コールセンターは他部署との連携において開かれたセンターであることが非常に大切であり、受け身ではなく能動的に他部署に働きかけて、より連携が密になる方策を共に考えることがこれまで以上に求められていると言える。
 



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2014年9月8日月曜日

研修途中で辞めていってしまうんです…基本→応用→発展のプロセスで新人を育てる

よく、「せっかく採用経費を使い、負荷をかけて新人研修を行っているのに、研修半ばで辞めていく人がいてむなしくなることがある」というお悩みを耳にする。このところ人手不足の状況が続き、以前ほど人が集まりにくい。やっとの思いで入社してもらい、教える方も工夫をしながらやっているにもかかわらず、戦力になる前に辞められたらそれこそ大きな痛手である。
辞めていく理由の中に必ずといっていいほど「研修で学んでいることがだんだんプレッシャーになってきて、とても実際のコールなどとれないと思ってしまう」というケースがある。最初からやる気がないのではなく、何とかついて行こうと頑張ったが、徐々に「自分には無理だ」と思い始める。すると研修に行くのも嫌になってしまう。完全に”生き生きと電話応対している自分”というイメージが崩れ去り、成功期待感がまったく持てない状況に陥る。これは本人の受け止め方やスキルレベルも影響しているため、会社として無理に引き留めることが良いと一概には言えない。しかし、皆の努力を考えると少しでもそれを防ぐ方法はないものだろうか?



いろいろな新人育成ケースを見てきて、ひとつ思い当たることがある。それは、教える側の「親心」が、かえって新人を混乱させているケースである。「親心」と書いたのは、親は子より当然経験を積んでいるだけ先が見通せる。すると、子がどこで大変な思いをするかがよくわかる。しかも、それを避けて通るための術も知っている。だから、子が望む前に先回りしていろいろ教えてあげようとする心理である。コールセンターでの新人研修を見ていても、限られた時間で相当な量のカリキュラムをお互いに消化しなくてはならない。入社時点の習熟度もまちまちなため教える側も大変だが、新人の中には、ひとつの躓きが次の躓きを生んで、わからないことだらけになる層も必ずといっていいほどいる。そういう人たちは、基本だけでも「知る」→「理解する」→「覚える」→「できるようにする」というステップに大きな負荷を感じている。
にもかかわらず、親心で「これはあくまで基本です。でも実際に電話を取るようになると、お客様はいろいろな対応を求めてこられます。当然基本だけでは対応しきれないことも多くあります。例えば…。こういう時のために、ついでに~ということも覚えておくと役立ちます。」と親切に情報提供する。しかし、この言葉の中には、
  1. 基本は勉強しているが、それだけでは役に立たない可能性が大きい。
  2. それ以上に、細かいことをいろいろ知っておかないと実際にはクレームになることも大いにありうる。
  3. ただ、それを覚えきるには道のりが相当大変そうだ。
  4. とてもではないが、この先ついて行くのは難しい。
と思わせるメッセージが無意識に込められている。
導入研修はあくまで、入り口の座学であり、本当の教育は実際のOJTと連動して基本を反復・徹底してこそ、スキルとして身につく。家に例えると、どんなに洒落て見えるデザインでも、基礎がもろいとちょっとした雨風で不具合が出やすい。あまりに「短期勝負」で焦ると、突貫工事的な仕上がりで終わる怖さがある。実際、新人の定着が悪いと”採用側”、”研修している側”、”受け入れ側”で、「どちらに非があるか」的な不毛な議論になってしまうケースも多い。


最も大切なのは、「いったい何が本当の”基本(基礎)”なのか、をしっかり分析し、絞り込むこと」ではないだろうか。『基本=この力を地道にしっかり身につけておくと、いずれ応用が利く』という木の根っこのようなモノであり、本来はシンプルである。例えば、生け花では「真・副・体」、調味料では「さしすせそ」など。まずその心をしっかり体得することで、奥深い世界に入っていける。応対の仕事も同じである。しかし、それがいつの間にか”あれも、これも”になり、枝葉がいっぱい茂った中に新人を迷い込ませていることもありうる。それを改めて見直すことは、私たちの仕事の本質をクリアにするチャンスとなるのではないだろうか。




 
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