2014年11月26日水曜日

応対を上手にリードするコツ ~立ち上がりで「イエス、イエス」のリズムを意識的に創り出していますか?~

●お客様との心理的距離を縮めるには

よく、商談の場面や初対面の際には、相手との心理的な距離を縮めるためにも、”いきなり本題から入らず、【世間話】が大切”と言われる。
しかし、世間話と言われても、何をどう切り出したら良いかわからない、と苦手意識を持ってしまう人も多い。焦ってぎこちなく話すことで、よけいに気まずい空気が流れてしまったという経験を持っている人もいるのではないだろうか?
私も以前そうだった。特に、自分が苦手とする年代やタイプの人こそ、世間話でほぐそうと無理すればするほど、話が弾まない。次第に「やっぱり余計なことはやめておこう」と諦めてしまった。一方、世代も近く、話しやすい人に対しては、自然に世間話をして会話が弾んでいる自分に気づく。表情もリラックスし、心もさらにほぐれていく。いったいこの違いは何だろうか?

実は、世間話をする目的をシンプルに凝縮すると、『いかに早い段階で相手から【小さなイエス】を引き出すか』にある。つまり、人間は、「そうですね」「はい」「そうそう」「私もそう思うんです」「ですよね」…という肯定的なイエスの反応を繰り返すことで、共感性が生まれ、徐々に相手との心理的な距離が縮まっていくのである。そうすることで、最終的に「大きなイエス」、つまり「あなたの考えには同意できる」「あなたの提案を受け入れてもいい」という心理を引き出しやすくなるのである。

翻ってみると、もともと共感性が高く気の合う人とは、自然と「イエス、イエス」のリズムが生まれているが、「もしかしたら、この人は考え方が違うかもしれない」「受けいれてもらいにくいのでは・・・」という心配を抱いている人に対しては、ボールの投げ方を工夫しないと「そうでしょうか、私はそう思いません」というノーの反応が出てきやすい。その反応を怖れて、下手に話を切り出せないと思ってしまうのである。





●小さなイエスを引き出すために


実際、人が最も自然に行っている世間話のテーマとしては、「今日も暑いですね」などの天気の話が多い。これは単純に「そうですね」というイエスの反応が返ってきやすいからといえる。さらに続けるとなると、「この暑さは続くようですね」(ええ)「こう暑いと大変ですよね」(そうだね)という展開で、イエス、イエスのリズムになる。それを意識的にリードすることで、早い段階で心を開かせることができる。私もそれを知ってからは、緊張する場面でこそ、意識的に本題ではなく、天気の話などで「イエス」を引き出すようにトライしてみた。すると、意外に相手から返ってくる小さなイエスが嬉しくて、さらにボールを投げる、という会話のキャッチボールが自然とできるようになった。且つ、それはその後の話の流れにとってかなり影響を及ぼすことも実感している。

では、電話応対で考えるとどうだろうか?大半のコールセンターではオープニングのスクリプトが決まっていると思うが、私が特に大切だと感じるのは「復唱」である。「●●様ですね。」「お電話番号は~でよろしいでしょうか?」…これらは単に聞き間違いをなくすためだけでなく、重要なイエスを積み上げるための流れである。その上で、「本日は~に関してお知りになりたいということでお電話いただいたのですね。ありがとうございます。」「~が届いていないと言うことで、ご迷惑をおかけしていると言うことですね。申し訳ございません。」というと、「そうそう、そういうことだよ。」という大きなイエスが引き出しやすい。それだけお客様はこちらを受けて入れてくれているという合図と言える。
また、「~させていただきます。」と一方的に言うよりも、「~させていただいてよろしいでしょうか?」と投げかけた方が、「はい、どうぞ」というイエスの反応になりやすい。

小さなことのようだが、こういう工夫を積み上げることで、上手にリードできるようになっていく。応対スクリプトをただ機械的に読み上げるのではなく、その背景を正しく理解して上手に使えるようになることで、最終的にはお客様に寄り添う応対に繋がっていくのである。


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2014年11月17日月曜日

「SVによって言うことが違うので、混乱してしまいます!」~コミュニケーター定着にとって重要な安心感の醸成~



安心感の重要性

人間の欲求の次元はいろいろあるが、ベースとなるのは「安心感」である。安心感とは、コミュニケーターの立場で言い換えると、「こうやっていれば問題がない(失敗しない、叱られない、評価される)」という感覚である。それが崩れてしまうと、仕事をしつつも

失敗する・叱られるのではないかという不安落ち着き・集中力が保てないミスをしがちさらに不安…消極的、あるいは自信を喪失するセンターに行きたくない、辞めたい…

という心理サイクルに陥ってしまい離職につながる事もしばしばである。

ゆえに、SVとして前向きに仕事に取り組んでもらえるコミュニケーターを育成したければ、まずは何より《このことをしっかりやっていれば、叱られたり、評価が下がったり、辞めさせられることはないんだという安心感》を醸成することが必須である。では、そのために何が必要なのだろうか

大切なことは以下の2つである。



安心感を醸成するには

(1)「許すことと許さないこと」を明確に示す。

例えば、「遅刻を○回すると評価が~になる」「以上の結果が出れば評価が~になる」「毎朝周知される~を正しく実行していないとSVから注意される」等々、できるだけ曖昧にせず、客観的に誰もが認識できるような示し方で基準を示すことが重要である。



(2)示したことを公平に徹底する。

示した基準をもとに、コミュニケーターが「だから~しよう」と自律的に行動してもらえるようにするには、示したルールが守られているかどうかを客観的にチェックし、きちんと公平な対応をすることが必須である。それがあってこそ、最終的に安心感につながる。

例えば、コミュニケーターが古いバージョンのマニュアル通りに受け答えし、SVから「朝礼でその文言は改訂されたことは伝えましたよね。きちんと差し替えて、新しいマニュアルに沿って対応してください。」と注意されたとする。その後、自分よりもベテランのコミュニケーターが同じように古いままの対応をしているのをSVが見ているのに何も指摘をしないと、《あの人は許されて私は許されないっておかしいのでは?》という気持ちになる。新しいマニュアルに沿った対応云々よりも、不公平という感覚が強く残る。

あるいは、「SVからこういう場合は~して下さいと指示されたのでその通りやっていたら、別のSVからそのやり方はおかしいと指摘される」というケースもある。すると、《どっちが正しいの》という疑問だけでなく、《言われたとおりやっただけなのに…》《私が悪いの?》という気持ちが残る。もちろんその場でコミュニケーターがそういう気持ちをきちんと発信してくれれば、SVもコミュニケーターの不安や不満に気づいて対処できるのだが、忙しいコールセンターでは、しばしばコミュニケーターはその言葉を飲み込んで「あ、すいません。気をつけます。」で終わっていくことも多い。それによって、表面的には問題にならなくても、コミュニケーターの心の中の「何に基づいてやるのが正しいのか?」という疑問は残ったままである。そこで、一番聞きやすいのはコミュニケーター同士。休憩室などで《どっちが正しいの?》と聞いてみる。すると、これまたコミュニケーターによって「私はこう言われた」がバラバラに出てくる。それが最終的に、「正しいことをしっかり教えてもくれないのに叱られるのは私たち」という被害者的な意識をSVの見えないところで派生させていくことになりかねない。



「なぜ私だけ?」「SVによって言うことが違う!」という不信感・混乱を回避するには?

これまでは少しでもそういう行き違いを防ぐために、SV同志の認識のすりあわせが大切とされてきた。もちろん情報を扱う分、SV同志の情報共有会議は重要である。しかし、おそらくどれだけの時間をかけて会議をしても、100%皆が全く同じ指示を出せるようにはならないおそれがある。なぜなら、SVも入れ替わっていくし、ルールも頻繁に変わる。指示の出し方もその場その場の状況によって言い方も変わらざるを得ないからである。そして何より受け止める側のコミュニケーターのフィルターも多様だからである。
重要なのは「コミュニケーターが安心感、ひいては信頼感を持って働ける環境づくり」である。ゆえに、コミュニケーターが示された基準対して、おかしいな””納得いかない””不公平だと思った時こそが、SVが問題に気づく最大のチャンスであり、それをきちんと発信してもらう関係づくりこそが、問題を未然に防ぐことになる。その際、ネックになるのは、SVの「コミュニケーターは言われたことを言われたとおりにやってくれればいい」「いちいちコミュニケーターの言うことに耳を傾けていたら業務が回らない」「コミュニケーターは何かを言わせたら、勝手なことや権利主張ばかりする」という考え方である。それに気づくと、当然コミュニケーターも《下手に波風を立てるとよけい不安定になる》と察知して口を閉ざす。確かに一方的な権利主張をしてくるコミュニケーターも中にはいるかもしれない。しかし、それも問題に気づくきっかけであり、その中に自分たちを見直す部分があるかもしれない。



これからの時代は、上下関係というより、それぞれがお互いに自分の役割を担いながら価値を共に創造していくパートナーであり、自分たちが見落としがちな情報を早めに拾うほど、問題が未然に防げて、より良い結果が出やすいということを、マネージャーとSV間でしっかり確認し合うこと。それが実は近道ではないだろうか。


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代表取締役/サービスデザイナー 袋井 泰江(Fukuroi Yasuko)


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