2014年11月17日月曜日

「SVによって言うことが違うので、混乱してしまいます!」~コミュニケーター定着にとって重要な安心感の醸成~



安心感の重要性

人間の欲求の次元はいろいろあるが、ベースとなるのは「安心感」である。安心感とは、コミュニケーターの立場で言い換えると、「こうやっていれば問題がない(失敗しない、叱られない、評価される)」という感覚である。それが崩れてしまうと、仕事をしつつも

失敗する・叱られるのではないかという不安落ち着き・集中力が保てないミスをしがちさらに不安…消極的、あるいは自信を喪失するセンターに行きたくない、辞めたい…

という心理サイクルに陥ってしまい離職につながる事もしばしばである。

ゆえに、SVとして前向きに仕事に取り組んでもらえるコミュニケーターを育成したければ、まずは何より《このことをしっかりやっていれば、叱られたり、評価が下がったり、辞めさせられることはないんだという安心感》を醸成することが必須である。では、そのために何が必要なのだろうか

大切なことは以下の2つである。



安心感を醸成するには

(1)「許すことと許さないこと」を明確に示す。

例えば、「遅刻を○回すると評価が~になる」「以上の結果が出れば評価が~になる」「毎朝周知される~を正しく実行していないとSVから注意される」等々、できるだけ曖昧にせず、客観的に誰もが認識できるような示し方で基準を示すことが重要である。



(2)示したことを公平に徹底する。

示した基準をもとに、コミュニケーターが「だから~しよう」と自律的に行動してもらえるようにするには、示したルールが守られているかどうかを客観的にチェックし、きちんと公平な対応をすることが必須である。それがあってこそ、最終的に安心感につながる。

例えば、コミュニケーターが古いバージョンのマニュアル通りに受け答えし、SVから「朝礼でその文言は改訂されたことは伝えましたよね。きちんと差し替えて、新しいマニュアルに沿って対応してください。」と注意されたとする。その後、自分よりもベテランのコミュニケーターが同じように古いままの対応をしているのをSVが見ているのに何も指摘をしないと、《あの人は許されて私は許されないっておかしいのでは?》という気持ちになる。新しいマニュアルに沿った対応云々よりも、不公平という感覚が強く残る。

あるいは、「SVからこういう場合は~して下さいと指示されたのでその通りやっていたら、別のSVからそのやり方はおかしいと指摘される」というケースもある。すると、《どっちが正しいの》という疑問だけでなく、《言われたとおりやっただけなのに…》《私が悪いの?》という気持ちが残る。もちろんその場でコミュニケーターがそういう気持ちをきちんと発信してくれれば、SVもコミュニケーターの不安や不満に気づいて対処できるのだが、忙しいコールセンターでは、しばしばコミュニケーターはその言葉を飲み込んで「あ、すいません。気をつけます。」で終わっていくことも多い。それによって、表面的には問題にならなくても、コミュニケーターの心の中の「何に基づいてやるのが正しいのか?」という疑問は残ったままである。そこで、一番聞きやすいのはコミュニケーター同士。休憩室などで《どっちが正しいの?》と聞いてみる。すると、これまたコミュニケーターによって「私はこう言われた」がバラバラに出てくる。それが最終的に、「正しいことをしっかり教えてもくれないのに叱られるのは私たち」という被害者的な意識をSVの見えないところで派生させていくことになりかねない。



「なぜ私だけ?」「SVによって言うことが違う!」という不信感・混乱を回避するには?

これまでは少しでもそういう行き違いを防ぐために、SV同志の認識のすりあわせが大切とされてきた。もちろん情報を扱う分、SV同志の情報共有会議は重要である。しかし、おそらくどれだけの時間をかけて会議をしても、100%皆が全く同じ指示を出せるようにはならないおそれがある。なぜなら、SVも入れ替わっていくし、ルールも頻繁に変わる。指示の出し方もその場その場の状況によって言い方も変わらざるを得ないからである。そして何より受け止める側のコミュニケーターのフィルターも多様だからである。
重要なのは「コミュニケーターが安心感、ひいては信頼感を持って働ける環境づくり」である。ゆえに、コミュニケーターが示された基準対して、おかしいな””納得いかない””不公平だと思った時こそが、SVが問題に気づく最大のチャンスであり、それをきちんと発信してもらう関係づくりこそが、問題を未然に防ぐことになる。その際、ネックになるのは、SVの「コミュニケーターは言われたことを言われたとおりにやってくれればいい」「いちいちコミュニケーターの言うことに耳を傾けていたら業務が回らない」「コミュニケーターは何かを言わせたら、勝手なことや権利主張ばかりする」という考え方である。それに気づくと、当然コミュニケーターも《下手に波風を立てるとよけい不安定になる》と察知して口を閉ざす。確かに一方的な権利主張をしてくるコミュニケーターも中にはいるかもしれない。しかし、それも問題に気づくきっかけであり、その中に自分たちを見直す部分があるかもしれない。



これからの時代は、上下関係というより、それぞれがお互いに自分の役割を担いながら価値を共に創造していくパートナーであり、自分たちが見落としがちな情報を早めに拾うほど、問題が未然に防げて、より良い結果が出やすいということを、マネージャーとSV間でしっかり確認し合うこと。それが実は近道ではないだろうか。


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サービスデザイン研究所
Service Design Institute
代表取締役/サービスデザイナー 袋井 泰江(Fukuroi Yasuko)


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